石燈籠の火袋が完成しました
前回の続きです。熊本県の神社にある石燈籠が、2016年に起きた地震により倒壊し、石が割れてしまったので新しくするという事で、今回熊本県の石屋さんから8個の火袋の依頼を頂いていました。それが先日無事完成いたしました。
6面全てに必要な所をノミ切りをします。それが終わると、角を作っていきます。
電動工具で切り込みを入れて、ノミで荒取りし額彫りをしていきます。
荒取りした面をエアービシャンで平らに仕上げます。
ビシャン面をノミ切りしていきます。
そこまで仕上げたものをボーリングで穴を開けます。
ボーリングで抜いてから中を長ノミで仕上げます。
ボーリングで穴を開けたところをノミで仕上げます。
こんな感じです。中もノミ切りで仕上げました。
額のふちも細いノミで仕上げます。
こんな感じに完成です。
反対側はこんな感じ
一度に8個もの火袋の製作はしたことが無かったため、中々大変な作業でしたが先日熊本県へ搬送致しました。
大変な作業でしたが、造っているときは無心になれるのでとても楽しかったです。
自分が作った物が手から離れるときは、安心とともに寂しさも感じます。
この様な仕事の依頼があることに、心から感謝しています。
自然石を利用しています。
数年前地元の精肉店さんから、畜魂碑のご依頼を受けて制作しました。
この石は、牧場から出た石です。
自然石に少し手を加えて制作しました。
花立て、香炉等も全て牧場から出た石です。
大概の石は加工出来ます。
熊本県の石燈籠の修復をしています
熊本県の石屋さんから、地震で倒れた石燈籠の火袋の加工を依頼されました。
火袋の数は合計で8個、石は岡山県の万成石(まんなりいし)です。
先日万成石が届き、早速加工しています。
地方からもご依頼頂き大変ありがたいです。精一杯、作らせて頂きます!
三重県の石造美術品
先日、妻と三重県の浦村まで牡蛎を食べに行ってきました。ここ数年、浦村まで牡蛎を食べに行くことが楽しみになっています。
浦村のかきたろうさんです。
こちらの牡蛎は、まず身が大きいのと、ぷりぷり感が半端ないです。それと一番は、臭みがなくてとても食べやすいです。牡蛎が苦手な方も、こちらの牡蛎なら食べられるんじゃないかなと思います。
それと、牡蛎小屋の中では、メニューも豊富だと思います。
今年もとてもおいしかったです。またシーズン中に何度か行きたいと思っています。
その帰りに、今回のブログタイトル通り、石造美術を見てきました。
ずっと行きたいと思いながら、やっと見に行けました。本で偶然見つけた経塚郡です。
本によれば、伊勢湾台風によって木が倒れ、偶然現れた経塚郡らしいです。建ってるもののほとんどは、番号が刻まれているので、台風以降に作られたレプリカだと推測します。
しかし、色々な形があり、見ごたえがあります。復元を指導された先生、また復元された石工さんも大変素晴らしいと思います。
平安の年号があるものもあり、本当にその昔にこれだけの色々な形がこの地にまとまって建てられたのか、とても興味深いです。
家紋・正面字を手彫り(コンプレッサー)
伊賀市猪田のお客様のお墓を作らせて頂きました。
五輪塔と代々墓、御先祖様のお墓の整理などをご依頼いただきました。
ちょっと、家紋・正面字を手彫りしてみようと、サンドブラストで彫ってから、その後彫った面のぼこぼこをエアーツールで丁寧に平らに仕上げていきました。
写真が悪くて分かりにくいですね。石粉がカメラをすぐにダメにしてしますのが悩みです。
こちらが道具です。刃先の太さを変えて使います。
正面字も手彫りです。
くっきり、はっきり見えて、字が浮き出て見えます。作業時間はだいたい通常の6倍程かかりました。
すこしでも綺麗に仕上げようと頑張りました。写真が悔しいです。いいカメラ買おっかな?
谷本石材の丁場跡を歩いてきました
今から60年以上前まで、谷本石材が採石していた石の丁場を歩いてきました。
谷本石材の工場から山に向かって500m程歩いたところにあります。
谷本石材の初代貞次郎さん、2代目傳三さん、3代目の九一さんまでのころが盛んに採石されていました。石ぞりに石を乗せて牛に引かせて運び出したと聞いています。流通が良くなった事と、危険が伴う事が多いので、昭和30年頃に閉山しました。
時代の流れとともに、様々な事が変化していきます。私がこの世界に入って23年の間にもかなり変化しました。これから先も、どんどん変化していくのでしょう。
時代の変化に取り残されないように、負けないように、私達も変化し、日々を過ごしていきたいと思います。
三重県名張市にある石の文化財(五輪塔)
三重県名張市で最も古い五輪塔。これは赤目町丈六寺にあります。
昔に撮られた写真(川勝先生の本?)には水輪がきちんと残ってていたように思いますが、何十年かの間で傷んでいたところが取れて紛失しているようです。
地輪も火輪も損傷が激しく、大きく欠けているところがあります。
欠けていない所を見える方向にしてありますが、このままではどんどん形が無くなってしまいます。何とか未来に残せるように、考えていかないといけないと思います。
早くどうにかしたいな・・・。
ものづくりフェア2018に参加してきました
10/20.21に、三重県技能士会しゅさいのみえ技能祭ものづくりフェア2018が、三重県東員町のイオンモール東員でありました。
色々な職種の技能士会がファミリーで体験して頂けるように準備し、石工技能士会は、手彫り表札を作って頂けるようにしました。
通常なら表札は数千円から数万円しますが、この体験は超お得で、500円で体験+オリジナル表札がついてきます。
石代だけでも数千円かかるので、やればやるほど赤字になります(笑)どこの技能士さんも同じようなことを言っていました。お金には変えられない出会いと、想いで作りですね。
2日間で30数名の方が、体験をしてくださり、ものづくりの楽しさや、大変さを感じていただけたのではないかと思います。大体の方が2時間ぐらいの所、中には朝から夕方近くまで熱心にされている方もおられました。みなさん大変上手で、集中されていました。小学生の女の子は、お母さんにも触らせずに、最後まで一生懸命作っていました。素晴らしい集中力です。
私も負けずに作りました。ここでも負けず嫌いを発動(笑)
2日間、来場して下さった皆様ありがとうございました。
石燈籠での事故について
先日、とても悲しい事故が起こりました。
石燈籠の擬宝珠(ぎぼし)部分が落ち、一人の尊い命が犠牲になりました。その件について、東京のNHKの方から、燈籠の施工基準についてお問い合わせがありました。
今現在、燈籠に関して明確な施工基準はありません。どのような点に注意して工事をしているのか、ボンドやセメントで止めているのか、等も聞かれました。
その燈籠をネットでみましたが、セメントで止めてあった様に見えました。しかし、経年劣化により、石とセメントが外れたのではないかと思います。
鎌倉時代の燈籠にはホゾがありますが、最近の燈籠にホゾはない事が多いです。ホゾがないと、地震や、負荷がかかったときにどうしても倒れ落ち易くなります。
最近の燈籠にホゾがない事が多い理由は、コストダウン重視、作業効率重視、見えるとこだけ重視等だと思われます。石の量を少なくし、見えない所の加工を省くことにより、コストダウンと作業効率を上げる事が出来ます。
先にも述べましたが、古き良きものにはしっかりとした太いホゾが加工されています。
その時代の石工は、様々な職人の中でも、地位も高く、守られていました。だからこそ、手間暇をかけて、1つの仕事に対し対価をもらうことが出来ました。
近年では、その状況と全く正反対です。
また時代により燈籠も形状の変化があります。もし、その燈籠に、深く、立派なホゾがあったら、今回の事故のような結果にはならなかったかもしれません。
これから、その燈籠は撤去の対象になるかもしれません。その他の燈籠も、撤去と言う事になるかもしれません。
石は、重くて危険。だから撤去しようとなるのは、とても残念でなりません。
何故、その様な事故が起きたのか、防げることはあったのではないか。私たち石工に出来ることは、きちんとした加工を知ること。そして施す事。
文化や技術を守るためには、絶対に手を抜かないこと。それらの事を、一般社会に正しく認知してもらう為に、訴えていくと言う事も、手を抜かないと言う事です。
職人の世界は、大変厳しい状況に陥っています。何千年と培ってきた文化が、消えそうになっています。職人の世界の理解と文化に対する理解が得られるように、啓蒙していきたいと思います。
一人でも多くの方に、耳を傾けて頂けたら幸いです。
国際ガーデンEXPO終わりました
10/10~10/12迄の3日間開催された、第12回国際ガーデンEXPOが終わりました。
片付け作業も早い早い!
あっという間の3日間で、沢山の方々とお話しさせて頂くことが出来ました。
谷本石材のブースで足を止めて下さった方々に、心から感謝しています。
この出会いを大切に、これからも頑張って行きたいと思います。