神・仏はおられる?
父がなくなって10年。家業を何とか続けてこれました。
今年で百十数年。100年以上続けているということは、100年間の中には色々な時代があったという事です。
今は、石材業界には大変厳しい風が吹いています。葬送・先祖祭祀の方法が変わり、散骨・樹木葬・宇宙葬・永代供養と石を扱う場がほとんどなくなってきました。
石を扱う職人としましては、石を使わなくとなると、生きていけません。
しかし、そんな中でも、谷本石材を選んで訪れて来て下さるお客様がいてくださいます。お電話を下さる客様がいてくださいます。谷本石材は、営業力の乏しい会社です。私たちの方から、ご訪問させて頂く事はほとんどありません。
沢山ある石屋さんの中から、谷本石材を選択して下さることは、本当に有難いと心から思っています。
私は、ご先祖様が見守り、助けてくれている。神・仏となり、助けてくれているのだと感謝しています。
子孫である私の苦悩を読み取り、楽はさせてくれませんが(笑)生きていける様に導いてくれていると思っています。だから、色々な方と出会い、御縁を頂き、楽しく石屋が出来ているのだと思います。
全ての考え方は、感謝だと思います。世の中に、不平・不満は誰にでもあります。しかし、今ある事に感謝することが一番大切であると思います。
全てのスタートは感謝から。私はこれからも石屋をしていきます。出来れば息子にも継いでもらいたいです。その為にも真摯に石と向き合います。 合掌
石工職人の危機!!
数日前に悲しい知らせが入ってきました。
良く知っている加工石屋さんが8月のお盆までで、工場を閉められたという話でした。
親子で事業をされていた石屋さんで、志も高く、熱心に勉強もされて、知識と技術を磨かれていました。
息子さんもまだ若く、30代です。だから余計に次を考えられたのだろうか・・・・・。
急激に冷え込んだ石材業界。埋葬の在り方・祀り方が著しく変化してきました。家族の在り方、教育、先祖祭祀、時代の変化の中で本当に石屋は必要ないのだろうか?
石を切り出し、石を加工する。石を知る職人だから細かいところまで行き届いた説明も出来る。
石を触る事もなく、販売だけの石材店も世の中にはたくさんあり、現在ではその様な形の石材店の方が強い。石を加工する代わりに、次の手を考えられる。
職人はそういうわけにはいかない。ほとんどの時間をこつこつと石と向き合い、加工することに時間を費やす。たしかに変化は遅い。
しかし、私はどちらの石屋の形を見ていますが、石を扱うものとして、守らなくてはならない物づくりの精神と、技術が、そこにあると思います。
今回、辞められた石屋さんも苦渋の決断だったと思います。私も自分の事の様に、辛く、悲しく、厳しく感じます。
昔の当たり前は、今の当たり前ではない。戦前・戦後のほとんどの石屋は、ノミとせっとうで石をはつって、キン!キン!キン!と小刻みにリズムの良い石を叩く音がしていたと思います。今はそんな石屋はほとんどありません。私が知っている限り、技術を持った石屋の方が減っているように思います。
人を認め、仕事(作品)を認め、それを残す。そうして職人は生きてこれました。その人の生き方、考え方、技能、作品は、この世の中の日本には不要なのか。認められないのか。その地域で、何十年・何百年培ってこられた技能・技術の伝承先がまた一つ消えてしまいました。
きっと世の中の人には知られる事もないでしょうが、それがまた悲しく思います。
決断された石屋さんご家族の、新しい明るい未来を心から願って。 合掌
谷本石材 谷本雅一 国際フォーラムへ行くの巻
8/8・9・10と東京国際フォーラムにて、匠の技の祭典がありました。
そこで、全国石材技能士会からの要請で、技能グランプリメダリストという事で加工実演をさせて頂くことになりました。
地元の東京の2人の職人仲間と三重県名張市から私。
地方からは私だけ呼んでいいただき、感謝・感謝です。
造るもの(彫るもの)は、前日まで東京五輪のロゴマークを手彫りしてほしいとの事でしたが、急遽東京都の判断で出来なくなりました。
突然の変更に、前日からバタバタ!!3人で何を造ろうか?と予期せぬ変更に戸惑いました。
3人で話し合い、2020年東京五輪にちなんで五輪塔を彫る事にして、東京五輪塔と文字を彫ろう!と決め、加工しだしました。
3日間、交代で加工して少しずつ進めました。五輪塔部分は順調でしたが、文字でつまづきました。
綺麗な文字を誰が描くのか・・・(笑)
結局、3人の中で綺麗な文字を掛ける人間はいないとという結論になり、都の職員さんに頼むことになりました(笑)
その時は引き受けて頂けたのですが、「やっぱり東京五輪とつくのは・・・・」と言われてしまい、字を彫る事は断念をせざるを得なくなりました。色々と規制と言うか、難しいですね。
なので、五輪塔だけを彫って完成。ゆくゆくはご戒名などを彫れる様に額だけ作って残しました。
3日間、多くの来場者があり、何度も見に来て下さる方もおられ、少しずつの変化を楽しんで頂けたのではないかと思っています。
「かけたら終わりやね・・・。」他の業者の方も見に来て下さり、「石屋さんは大変やね・・・。失敗できない。」と言われていました。
分かってくれますか!?地味~で失敗の許されない仕事。そら職人も減るよね~。
一般の方には、今ではほとんど目にすることのない石工の仕事風景。この技術を次世代に伝承させていく事は、私達の使命だと思いますが、なかなか困難な道が続きます。皆様、どうか応援よろしくお願いいたします!
丸川珠代国会議員と一緒に写真を撮って頂きました。ありがとうございます。
トヨタ2000GT!!かっこいい。憧れます。