五輪塔 開眼法要

石材店を通じて作らせていただいた、手作りの五輪塔。製作者として、私まで開眼式にご招待頂きました。
設置の時に、すでにお施主様には見て頂いてあったので、この日はまだリラックスして参加させて頂けました。

天候にも恵まれ、すごく良い開眼日和でした。開眼には、3人の息子さん家族もこられており、初めて会わせて頂いた私にご家族の方のご紹介、また私の紹介もして下さいました。無事に開眼法要が終わり、塔を見ながら雑談。手打ちの事、現場のでの微調整の事、私の経歴など詳しくご紹介してくださいました。息子さん達は、この日初めて五輪塔を目にされました。


この五輪塔は、お施主様ご夫婦の生前墓で、息子さん達に、ここに私たちが眠るんだとご説明されていました。また、御長男さんには、隣にお墓を建てるんだよと、未来地のご説明もされていました。

お話をされているのを聞きながら、またお施主様のご依頼で、台座部分に私の名前も刻ませて頂いた以上、これからも頑張り続けないといけない。期待して頂いているんだと受け取りました。

私に期待してくれる方々がいて下さるから、私はこれからも作り続けられる。私の石屋人生は、「石工の道」。作る事しかない。これからも、前だけを見て頑張り続けます。

 

 

 

さざれ石台石製作 お披露目

禰宜さんがご来店下さってから、数カ月がたち、やっとお披露目の日が出来ました。
お披露目前日に完成し、最後の最後までご心配おかけしましたが、なんとか間に合わせる事が出来ました。

お披露目には、私と妻もご招待いただきました。
拝殿での参拝参列者は、さざれ石を寄贈されたご夫妻、鹿島神宮名誉宮司様、君が代を書いてくださった書家の先生、書家先生の娘さんご夫婦、そして私達夫婦でした。

中々そのような場に行かせて頂く経験も少なく、夫婦ともに緊張でした。

無事参拝が終わり、氏子さん達へのお披露目となりました。まだまだ緊張は続きます。皆さんの反応はどの様なものか。どきどき。
氏子さんたちが見つめる中、除幕式が行われました。

幕を外すと「おぉ~。」と言う声が聞こえてきました。

除幕式が終わり、皆さんさざれ石のそばまで寄って、色々な角度から見て下さっていました。「いいものが出来た」「すごくツヤが綺麗ですね」「黒い石はどこの石ですか?」など次々に声を掛けて下さりました。温かい声ばかりで、本当にうれしく思いました。

今回、さざれ石寄贈に参加させて頂く事が出来、私自身やりがいのあるお仕事をさせて頂いたことに心から感謝しております。

私の頑固さに、最後までお付き合いくださった禰宜さんご夫妻、本当に感謝しております。様々な御縁に感謝です。
これからも懲りずに、末永いお付き合いを心からお願いいたします。

後日談。さざれ石と、台石に傷が付けられてはいけないと防犯カメラまで設置されました(笑)
神様の傍で悪いことをしてはいけないですよね。
その様なことが無いように願っています。

五輪塔 ②

工場で五輪塔が完成して、春日井の石屋さんに引き渡し。弊社の工場まで取りに来てくれました。

 

私としては、大切な娘が嫁に行く気持ちです。(娘はいませんけど・・・・)

 

春日井の石屋さんに少し待っていただき、最終のチェックと仕上げ。さようなら・・私の五輪塔。

 

 

数日後、現場に建てると聞いたので、春日井まで大・中・小のノミとせっとう(金槌)を持って駆けつけました。

 

工場でもきちんと仮組をし、確認していますが、手加工の五輪塔なので、微妙な加減でズレが生じます。せっかく建てて下さった五輪塔。建ち上がる最後まで見届けたかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やはり微妙なズレが出た。お施主様も見に来て下さっている中、目の前で微調整。中々の緊張感でした。

 

近くでカメラを向けられパシャパシャ。こんな時に失敗したらえらい事です。

 

無事に自分の任務が完了し、ホッとしました。

 

後は開眼を待つのみです。

さざれ石 台石 手加工③

加工途中の石の出来栄え、石に刻む文字の事(大きさ・刻む位置)、禰宜さんには店や工場へ何度も足を運んでいただき、ご確認頂きました。加工途中の石、磨いていった石の変化、石の曲面の滑らかさなど、普段中々見る事のない所も見て頂きました。また、刻む文字も、鹿島神宮名誉宮司上野様と書家の掘先生が書いてくださった文字で刻みました。

 

 

日が近づいていたので、それこそ失敗は許されないので、余計に緊張しました。余裕は大事ですね。

 

2つのさざれ石を乗せるだけでなく、黒御影の台石の方にもきちんと石の形にくりぬいてはめ、さらにステンレスの棒を差し込んで、小さいお子様が押しても倒れないように加工しました。

 

 

出来るだけの事をして、ギリギリまで粘っていたため、加工の完成は、施工当日の午前2時を少し回っていました。何とか間に合った。後は施工を無事に終えるだけ。

 

天候にも恵まれ、無事工事が出来ました。

 

石を据えてからも最終仕上げの黒御影石にノミ打ち。下からグラデーションになる様にノミを打ちました。日本人の沸き立つ生命を表現しました。この作業は全部を組んで、景観の雰囲気を見てからしようと思っていたので、現場でしか出来なかったのです。

 

ついに完成!

 

 

真っ暗(笑)

 

完成は式典前日。数時間後には式典です。本当にギリギリで申し訳なかったです。最後の最後までご心配おかけいたしました。

 

私のこだわりを最後まで尊重して下さった禰宜さんご夫妻。そして鹿島宮の皆様。本当にありがとうございました。

 

 

 

さざれ石 台石の加工編 ②

さざれ石の台石の模型がOKを頂いてから、次はどの様に文字を刻むか、誰に書いていただくかというお話になりました。そして、黒い石を地面の上に置くだけだと文字が隠れるのではないか?見えないのではないか?という心配が出てきました。

 

そこで、台石をかさ上げするための台石、少し高さを上げてほしいとのご要望をいただきました。形はおまかせでとの事でした。

 

また一つ宿題です(笑)

 

悠久にあう台石で、四角に巻くだけでも良かったのかもしれませんが、それでは芸がない。せっかくの悠久を引き立たせる、意味のある、そんな台石を作らなければならない。

 

試行錯誤の末、さざれ石からくるイメージとそして「神社」と言う場所に結びつくように、長い歳月をかけて出来る日本の時の流れを支えて守ってくださっているのは八百万の神である。全ての物に神は宿る(汎神論)ことから、八百万の神を表現しようと思いました。

 

 

私のイメージは、神様は私達を優しく見守ってくださっている。しかし、時には厳しい面も持っておられるのではないかと思い、遠くから見ると丸く柔らかく、でも近くから見ると荒々しい表面。それをノミ切り仕上げで表現しようと思いました。

 

 

 

数は13個。日本は神仏混合なので、13という数字で作りました。しかし、施工の段階で13と言う数字はあまり・・・・・となり、急遽数を変えることになりました。特に縁起が良い数字は15・24が案に出ました。13+2で15個にすることになりました。

 

2つ増えるだけでもどう増やすか。禰宜さんご夫妻も、これから作業内容を増やすのは大変だという事を思って下さり、今までの作業が無駄にならないようなデザインのご提案もしてくださいました。しかし、私自身がデザインの妥協ができず、既に出来ている13個全ての石の大きさを小さくし、プラス2個作るという事でご了承いただきました。本当に頑固で申し訳なかったです。残るものなので、どうしても妥協したくなかったのです。私自身の勉強不足、縁起の良い数字を始めから調べれば良かった。

 

今更そこを悔やんでも仕方ありません。残された時間が限られていました。外周から1個の大きさを出して、全てをだいたいその大きさに急いで加工。やり直しだからといって手を抜くわけにはいきません。1回目より美しいように頑張って加工しました。

 

人間、追い詰められたら出来るものです(笑)

 

 

 

 

15個完成しました。人生は常に勉強ですね。

 

15個完成し、施工したのが式典の3日前でした。まだ上の悠久の加工が残っています。

 

 

手作り 伝統工芸 沓脱石(くつぬぎいし)①

名張市にあるお寺のご住職が本社へご来店下さり、沓脱石(くつぬぎいし)が欲しいとの事でした。

ご住職からのご依頼は、中国製の四角い石で良いとの事でした。

弊社の事は、HPを見て知ってくださったらしく、色々なお話を聞かせて頂くと、ご住職も石が好きという事で、それならお寺で後世にも残してもらえるような美しい、雰囲気の良い、世界に一つしかないようなものを一緒に作らせて頂けませんか?

お寺はずっと受け継がれていくもの、だからこそ美しく価値のあるものを作って残しませんか?とお伝えいたしました。

ご住職も賛同してくださり、手加工の沓脱石の製作をさせてていただくことになりました。デザインはおまかせしますと言って頂いたので、私の方で考えさせていただきました。

 

 

先ずは一部分を製作し、ご住職にイメージが伝わる様に見て頂く事にしました。

 

五輪塔

夏から少しづつ製作していた大和型五輪塔。

お施主様への引き渡しまではあと20日程と、納期が迫っていました。

朝も昼も夜も毎日時間のある限り石を打つ。

建てる場所で一番美しく見える様に、水輪(玉部分)を何度も組んでははずしを繰り返し、削って水輪全体のバランスを整えていきました。

現地である墓地は、前の車道から80㎝ほど上がった、すぐ横にありました。通路から見ることが一番多い事が想像できるので、道から見上げた時が一番美しく見える様に考えて作り続けました。

  

 

さざれ石 台石製作 石職人のこだわり 続き

前回の続きになってます。ご興味のある方はこちらからお願いします。https://tanimotosekizai.co.jp/archives/post-931/

私のわがままな申し入れを聞き入れて頂けるようになり、ほっとしたのは束の間で、次の試練は鹿島宮に納めさせていただいて違和感のない、そしていつまでも祀って頂く為に、意味のあるものを作りたい。そのデザインを考える。これが一番何よりも難しい。

さざれ石から連想できることを考え、言葉にし、そこから作品名をまず決めました。

作品名 「悠久」

何度もスケッチを繰り返し、イメージが伝わりやすいように、実物の5分の1サイズ程の粘土の模型を作成しました。

お金じゃない。触ってみたくなるもの。じっくり見てみたくなるもの。興味がわくもの。喜んでもらえるもの。

もーめっちゃくちゃドキドキ!!(笑)気に入って頂けなかったらどうしよう・・・、がっかりさせてしまったらどうしよう・・・不安がぐるぐると頭の中を駆け巡りましたが、納得して頂けるものを出来るまでチャレンジしたらいい!と自分に言い聞かせて行きました。

模型に布をかけてすぐには見えないように(笑)いざ!!プレゼン!!!

作品名の説明、私のイメージをお伝えしてから布を外しました。

作品名、模型、共に一髪OK!!を頂きました。

長い長い歳月の中で作りだされた 時の流れを3本の川で表現し、形は職人の「手」でしか出来ない形、左右非対称。四角だと機械で切って機械で磨ける。丸でも同じ。ろくろの様な機械で回しながら切って磨ける。一番手間のかかる形。せっかくさせていただくのだから、職人の意志とプライドをかけた、玄人が見ても分かる、真似されない形。

実際にもっていった模型はこちら↓

  

さざれ石 台石製作 石職人のこだわり

昨年6月初旬に、三重県名張市桔梗が丘にある鹿島宮の山本禰宜さんがご来店下さいました。用件の内容は、国家「君が代」に出てくるさざれ石を奉納されるという事で、そのさざれ石の台石がほしいとの事でした。

山本さんは具体的な手書きの図面を準備して持参して下さっており、その形を3社で見積もってもらうつもりであるとおっしゃいました。3社の中に弊社が入っていたのは氏子総代会の方からうちの名前が出たという事でした。大変ありがたい事です。

しかし、3社での相見積りということは額面の値段勝負という事です。持って来られた図面は同じでも、石屋によってこだわり(施工方法)が違います。自社の丁寧な工事の見積りにするか、仕事をさせて頂けるだけの見積りにするかが全然変わってきます。

仕事はさせて頂きたい。しかし、仕事をさせて頂くだけの見積り(省けるものを省いた最低限の見積もり)は出したくない。う~ん・・・・・と悩んでいると、「谷本さんのこだわりは分かります。無理に出していただかなくてもいいですよ」と山本さんが言ってくださいました。

帰られてから、頂いた図面だとどれくらいかかるのか、自分のしたい仕事の金額と、最低限の仕事の金額を考えました。しかし、とてもいい競争になるようには思えませんでした。

神社の境内、寺院の境内に作るもの。それは末代まで残るものではないのか?それこそ石工が腕を振るって喜んで頂ける場所ではないのか?

ものづくりをどれだけ頑張っても、中国製で相見積り。厳しい世の中だから仕方ないのかもしれませんが、これでは世の中から石工の技術やこだわりを持った石職人はいらない。そして次第に職人はいなくなっていく。少しでも、美しい石造物を作って残したい。地域の皆さんに、日本人の職人が作る美しさを知ってもらいたい。どうしたらいいのか・・・・・。

一晩悩んだ末、山本さんに直談判をしに行くことに決めました。

「私に作らせてほしい。」

とお願いさせて頂く事にしました。せっかくの御縁。そして、鹿島宮から一番近くにある石屋としてのプライド、石工としてのプライドをかけて、損得考えず「良いもの」を私に作らせてほしいとお願いしました。

無理なお願いですので、すぐにOKとはいきません。氏子総代会で相談しますとの回答でした。

話し出したら止まらない、私の長い話をうん、うんと聞いて下さり、私の想いをくんで下さり、総代会の中でも様々な意見も出たかとは思いますが、山本さんのご尽力のおかげで、結果私のわがままを聞いて下さる事になりました。

心から感謝しております。    次に続きます。

 

 

宝塔完成 そして入賞

ギリギリいっぱい、やっとの思いで作り上げた宝塔。仕事の合間をぬっての作業はかなりきつかった。

完成したのは岡崎ストーンフェアに出展する前日の夜中12時になるころでした。次の日の午前中には展示しないといけません。

昼1:00から審査。最後の一週間は本当にきつかった。休日返上で作業に当たりましたが、中々作業時間も取れません。全国から作品を公募しているので、出てくる作品は力作ばかり。

昨年は灯籠を出したのですが、それよりは良い成績になりたいと思っていました。

結果は1つ順位が上がりました。「伝統的工芸品産業振興協議会賞」を頂きました。

時間的には厳しかったですが、やりとげ、作り上げて、皆さんに評価していただき、また「美しい」という有難いお言葉もいただき、とても嬉しいです。あと、購入して頂ければ・・・・・笑

売れることは置いておいて、私達石工は、少しでも美しい尊厳のある仏塔が作れるようになれるといいなぁと思います。本来の石工のあるべき姿。それはものづくり。売る事はもちろん大切ですが、感性を磨いて作品を作る事が大切で、形に出来る事が石工であると思っています。

全国の石工と良い競争が出来る様に、これからも頑張ります!!