石で茶碗を作ってみました。

ちょっと空いた時間に、余っている素材で石製の茶碗を作ってみました。
大きさは約12㎝丸 高さ約8㎝ 神奈川の本小松石(安山岩)で作りました。

内側は磨いて、外は磨いているところと磨いていない所にし、遊び心をもってデザインしました。
石は重いので薄く軽くするのが課題です。慎重に薄く削っていき、なんとか400gを切ることが出来ました。

出来上がった茶碗を見て、石の器も良いもだと思いました。(自画自賛・笑)

これからも、感じた事やひらめいた物を、楽しみながらものづくりをしていきたいと思います。

 

奈良県山添村 不動院 落慶法要

数年前から始まった本堂の立て直し事業。ご住職がこのお寺に来て下さった頃からの悲願でもありました。長年雨風にさらされてきた本堂はあちこち痛み、少し手を加えただけではどうしようもないくらい痛みが著しかった。

檀家様のご理解を得て着工。一番最初に入ったのが当社でした。境内にある文化財である石の宝筐印塔や石燈籠、十三重の塔、観音様の解体からでした。数年の間に、様々なお仕事に携わらせて頂きました。

本堂前の石張りをさせて頂きましたが、どこにでもある様な物ではなく、石工の技術を発揮出来る仕事がしたいと思い、延石から板石まで、一打一打手打ちで作らせて頂きました。参考モデルは京都の東寺です。

昔のあたりまえは今の当たり前ではありません。近年の神社やお寺の石工事は、ほとんどが海外製品ばかりです。どこの石工事も差が無く同じです。近年では板石の厚みは3㎝程です。石屋に一番求められるのは、コストの削減です。海外の製品にコストで勝てるわけがありません。コスト重視の仕事では、石工事の大切さや良さは伝わりません。石工の仕事も知ってもらいたい、見てもらいたい。そんな思いから、ご住職にこんな雰囲気の参道をさせてもらえないかとご提案いたしました。

ノミ切りは、薄い石には出来な加工です。分厚い原石のままでノミ切り加工をして、石を機械で薄く切って一枚ずつ寸法切りをします。昔ながらの物は一枚が分厚く、地面に面する所は見えなくなってしまうので、非常に贅沢な作りになります。私がどれだけ技術を身に付けても、石工と言う仕事に熱い思いを持っていても、それを生かす場がないと何の意味もありません。この様な機会を下さったご住職に、心から感謝いたします。

それから数年。平成最後の年である今年、平成31年4月に落慶法要を迎えることが出来ました。

お寺の本堂がメインですが、参道にも目を向けて頂けたら嬉しいです。