五輪塔

夏から少しづつ製作していた大和型五輪塔。

お施主様への引き渡しまではあと20日程と、納期が迫っていました。

朝も昼も夜も毎日時間のある限り石を打つ。

建てる場所で一番美しく見える様に、水輪(玉部分)を何度も組んでははずしを繰り返し、削って水輪全体のバランスを整えていきました。

現地である墓地は、前の車道から80㎝ほど上がった、すぐ横にありました。通路から見ることが一番多い事が想像できるので、道から見上げた時が一番美しく見える様に考えて作り続けました。

  

 

さざれ石 台石製作 石職人のこだわり 続き

前回の続きになってます。ご興味のある方はこちらからお願いします。https://tanimotosekizai.co.jp/archives/post-931/

私のわがままな申し入れを聞き入れて頂けるようになり、ほっとしたのは束の間で、次の試練は鹿島宮に納めさせていただいて違和感のない、そしていつまでも祀って頂く為に、意味のあるものを作りたい。そのデザインを考える。これが一番何よりも難しい。

さざれ石から連想できることを考え、言葉にし、そこから作品名をまず決めました。

作品名 「悠久」

何度もスケッチを繰り返し、イメージが伝わりやすいように、実物の5分の1サイズ程の粘土の模型を作成しました。

お金じゃない。触ってみたくなるもの。じっくり見てみたくなるもの。興味がわくもの。喜んでもらえるもの。

もーめっちゃくちゃドキドキ!!(笑)気に入って頂けなかったらどうしよう・・・、がっかりさせてしまったらどうしよう・・・不安がぐるぐると頭の中を駆け巡りましたが、納得して頂けるものを出来るまでチャレンジしたらいい!と自分に言い聞かせて行きました。

模型に布をかけてすぐには見えないように(笑)いざ!!プレゼン!!!

作品名の説明、私のイメージをお伝えしてから布を外しました。

作品名、模型、共に一髪OK!!を頂きました。

長い長い歳月の中で作りだされた 時の流れを3本の川で表現し、形は職人の「手」でしか出来ない形、左右非対称。四角だと機械で切って機械で磨ける。丸でも同じ。ろくろの様な機械で回しながら切って磨ける。一番手間のかかる形。せっかくさせていただくのだから、職人の意志とプライドをかけた、玄人が見ても分かる、真似されない形。

実際にもっていった模型はこちら↓

  

さざれ石 台石製作 石職人のこだわり

昨年6月初旬に、三重県名張市桔梗が丘にある鹿島宮の山本禰宜さんがご来店下さいました。用件の内容は、国家「君が代」に出てくるさざれ石を奉納されるという事で、そのさざれ石の台石がほしいとの事でした。

山本さんは具体的な手書きの図面を準備して持参して下さっており、その形を3社で見積もってもらうつもりであるとおっしゃいました。3社の中に弊社が入っていたのは氏子総代会の方からうちの名前が出たという事でした。大変ありがたい事です。

しかし、3社での相見積りということは額面の値段勝負という事です。持って来られた図面は同じでも、石屋によってこだわり(施工方法)が違います。自社の丁寧な工事の見積りにするか、仕事をさせて頂けるだけの見積りにするかが全然変わってきます。

仕事はさせて頂きたい。しかし、仕事をさせて頂くだけの見積り(省けるものを省いた最低限の見積もり)は出したくない。う~ん・・・・・と悩んでいると、「谷本さんのこだわりは分かります。無理に出していただかなくてもいいですよ」と山本さんが言ってくださいました。

帰られてから、頂いた図面だとどれくらいかかるのか、自分のしたい仕事の金額と、最低限の仕事の金額を考えました。しかし、とてもいい競争になるようには思えませんでした。

神社の境内、寺院の境内に作るもの。それは末代まで残るものではないのか?それこそ石工が腕を振るって喜んで頂ける場所ではないのか?

ものづくりをどれだけ頑張っても、中国製で相見積り。厳しい世の中だから仕方ないのかもしれませんが、これでは世の中から石工の技術やこだわりを持った石職人はいらない。そして次第に職人はいなくなっていく。少しでも、美しい石造物を作って残したい。地域の皆さんに、日本人の職人が作る美しさを知ってもらいたい。どうしたらいいのか・・・・・。

一晩悩んだ末、山本さんに直談判をしに行くことに決めました。

「私に作らせてほしい。」

とお願いさせて頂く事にしました。せっかくの御縁。そして、鹿島宮から一番近くにある石屋としてのプライド、石工としてのプライドをかけて、損得考えず「良いもの」を私に作らせてほしいとお願いしました。

無理なお願いですので、すぐにOKとはいきません。氏子総代会で相談しますとの回答でした。

話し出したら止まらない、私の長い話をうん、うんと聞いて下さり、私の想いをくんで下さり、総代会の中でも様々な意見も出たかとは思いますが、山本さんのご尽力のおかげで、結果私のわがままを聞いて下さる事になりました。

心から感謝しております。    次に続きます。