さざれ石 台石製作 石職人のこだわり

昨年6月初旬に、三重県名張市桔梗が丘にある鹿島宮の山本禰宜さんがご来店下さいました。用件の内容は、国家「君が代」に出てくるさざれ石を奉納されるという事で、そのさざれ石の台石がほしいとの事でした。

山本さんは具体的な手書きの図面を準備して持参して下さっており、その形を3社で見積もってもらうつもりであるとおっしゃいました。3社の中に弊社が入っていたのは氏子総代会の方からうちの名前が出たという事でした。大変ありがたい事です。

しかし、3社での相見積りということは額面の値段勝負という事です。持って来られた図面は同じでも、石屋によってこだわり(施工方法)が違います。自社の丁寧な工事の見積りにするか、仕事をさせて頂けるだけの見積りにするかが全然変わってきます。

仕事はさせて頂きたい。しかし、仕事をさせて頂くだけの見積り(省けるものを省いた最低限の見積もり)は出したくない。う~ん・・・・・と悩んでいると、「谷本さんのこだわりは分かります。無理に出していただかなくてもいいですよ」と山本さんが言ってくださいました。

帰られてから、頂いた図面だとどれくらいかかるのか、自分のしたい仕事の金額と、最低限の仕事の金額を考えました。しかし、とてもいい競争になるようには思えませんでした。

神社の境内、寺院の境内に作るもの。それは末代まで残るものではないのか?それこそ石工が腕を振るって喜んで頂ける場所ではないのか?

ものづくりをどれだけ頑張っても、中国製で相見積り。厳しい世の中だから仕方ないのかもしれませんが、これでは世の中から石工の技術やこだわりを持った石職人はいらない。そして次第に職人はいなくなっていく。少しでも、美しい石造物を作って残したい。地域の皆さんに、日本人の職人が作る美しさを知ってもらいたい。どうしたらいいのか・・・・・。

一晩悩んだ末、山本さんに直談判をしに行くことに決めました。

「私に作らせてほしい。」

とお願いさせて頂く事にしました。せっかくの御縁。そして、鹿島宮から一番近くにある石屋としてのプライド、石工としてのプライドをかけて、損得考えず「良いもの」を私に作らせてほしいとお願いしました。

無理なお願いですので、すぐにOKとはいきません。氏子総代会で相談しますとの回答でした。

話し出したら止まらない、私の長い話をうん、うんと聞いて下さり、私の想いをくんで下さり、総代会の中でも様々な意見も出たかとは思いますが、山本さんのご尽力のおかげで、結果私のわがままを聞いて下さる事になりました。

心から感謝しております。    次に続きます。

 

 

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